零れ話
ポッと浮かんだ話を無責任に投下。
理不尽
それは気持ちの良い秋晴れの日
非日常は唐突に現れた
私の日常をいとも容易く塗りつぶしていくそれを
無かった事には出来なくて
私の日常が塗りつぶされて
過去を呼び覚まし
私の世界が広がる
望んだわけでもないというのに
広がっていく
非日常は唐突に現れた
私の日常をいとも容易く塗りつぶしていくそれを
無かった事には出来なくて
私の日常が塗りつぶされて
過去を呼び覚まし
私の世界が広がる
望んだわけでもないというのに
広がっていく
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塊の正体
「白木さん!どうしたんですか、てあれ?」
大きな塊を挟んで反対側から目の前の男性、白木と同じ様な服装をした若い男性が走ってきた。
「ここはまだ結界内ですよね。って事は、この子結界内に入り込んで来たんですか?」
「状況から考えると、そうなるな」
「それって結構ヤバくないですか?一般人が入り込める状態って事ですよね」
「そうとも限らない。力のある奴が誤って入ってしまう事は稀にある」
白木の説明に若い男性はへーと感心の声を零す。
「ん?と言う事はあの子能力者ですか」
「その可能性が高い。あいつの結界がこんな短時間で弱まるなんて有り得ないからな」
「ああー・・・見つけちゃった以上、連れて行かないとダメですよね」
若い男性が困り顔で白木を見る。白木はただ黙って頷いた。
自分の意思と関係ないところで何やら自分に関する事が勝手に決められている気がした。
何時までも呆けている場合ではない。
「あのーあそこにある塊って、何なんですか」
言葉を発すると二人がこちらを見た。視線が集まった事に居心地の悪さを感じる。
「オニだ」
じっとこちらを見ていた白木が良くとおる声で一言、告げた。
「鬼って、昔話の桃太郎とかに出てくるあの鬼ですか」
至極真面目な顔で非現実な事を言うものだから、頭の中に浮かんだ「何を言っているんだこいつは」という言葉は音にならず、眉間にしわを寄せて別の事を聞く。
こちらの表情から彼の言葉を全く信じていない事は伝わっているだろう。実際に現実的で無い物が目の前にあるとしても、彼の言葉を「はい、そうですか」と素直に受け止められはしないのが普通だ。
「厳密には違うんだけど、まあ、同じようなモノとして理解して良いよ」
若い男性が苦笑を浮かべながら言った。
大きな塊を挟んで反対側から目の前の男性、白木と同じ様な服装をした若い男性が走ってきた。
「ここはまだ結界内ですよね。って事は、この子結界内に入り込んで来たんですか?」
「状況から考えると、そうなるな」
「それって結構ヤバくないですか?一般人が入り込める状態って事ですよね」
「そうとも限らない。力のある奴が誤って入ってしまう事は稀にある」
白木の説明に若い男性はへーと感心の声を零す。
「ん?と言う事はあの子能力者ですか」
「その可能性が高い。あいつの結界がこんな短時間で弱まるなんて有り得ないからな」
「ああー・・・見つけちゃった以上、連れて行かないとダメですよね」
若い男性が困り顔で白木を見る。白木はただ黙って頷いた。
自分の意思と関係ないところで何やら自分に関する事が勝手に決められている気がした。
何時までも呆けている場合ではない。
「あのーあそこにある塊って、何なんですか」
言葉を発すると二人がこちらを見た。視線が集まった事に居心地の悪さを感じる。
「オニだ」
じっとこちらを見ていた白木が良くとおる声で一言、告げた。
「鬼って、昔話の桃太郎とかに出てくるあの鬼ですか」
至極真面目な顔で非現実な事を言うものだから、頭の中に浮かんだ「何を言っているんだこいつは」という言葉は音にならず、眉間にしわを寄せて別の事を聞く。
こちらの表情から彼の言葉を全く信じていない事は伝わっているだろう。実際に現実的で無い物が目の前にあるとしても、彼の言葉を「はい、そうですか」と素直に受け止められはしないのが普通だ。
「厳密には違うんだけど、まあ、同じようなモノとして理解して良いよ」
若い男性が苦笑を浮かべながら言った。
月下の出会い
その時、背後から大きな騒音と共に体を押すほどの強い風が襲い掛かり思わず数歩前に進む。
何が起こったんだと後ろを振り返ると、先ほどまで無かったモノが広場の中央にあった。それは土埃が舞っていてはっきりと姿が見えないが大きな塊の様だ。
あまりの突然の出来事に頭が働かず、逃げるという行動すら思いつかずに、土埃の向こうにある非日常をただ、じっと見つめていた。
どれほど時間が経ったか。
舞っていた砂の多くが地面に戻って行き始めた時、大きな塊の一部が動いた。
まだ少し土埃が残ってはいるが、月明かりに照らされて、それが何なのか十分に分かる程度までには治まっていた。
どうやら動いたモノは大きな塊の上に乗っている、人だったようだ。
一瞬のうちに襲い掛かってきた驚きが落ち着いてくると、どうやら脳は思考を止める様で、ぼんやりと起き上がった人を見つめ続ける。
そうしている内に塊の上にいる人がこちらに気づいたらしく、塊の上から降りてこちらに来る。
「あんた、此処で何をしているんだ」
声を掛けられた事で反射的に体がビクリと震えた。
動き出した思考は混乱していて、言わなければならないと分かっていても、言うべき言葉が出てこない。
「新人、じゃないよな。一般人か」
目の前まで来た人は男性で、暗闇の中に溶け込めるような黒い服を身にまとっている。今は月の光の下にいるので、逆にその黒が浮き上がってしまっている。
月に照らされた男性を見て、ふと綺麗な人だなと思った。当然そう思った時には、突然大きな塊と共に公園の真ん中に現れた不審者などという事は頭の中からすっかりと消えていた。
夜の公園
家から10分ほど歩いたと所に山を切り開いて造られた公園がある。その公園の多目的広場には多くの桜の木が植えられている。
寒さが厳しかった日々が過ぎ、段々と温かくなり、日中の日が高い時間帯なら上着が必要ないほどに気温が高くなって数日が経った。
学校に植えられている桜は綺麗に咲き、もう満開を過ぎている。公園の桜もきっと多くの桜が美しく咲いているだろう。
はやる気持ちを抑えて夜に浮かび上がる景色を楽しむ。夏になると五月蝿いくらいに聞こえるカエルや虫の泣き声がないため、非常に静かだ。
周りの景色を楽しんでいても自然と足が速くなっていたようで、あっという間に公園に着いた。
公園内に入り、広場に向かって行くと、遠くからでも月に照らされて、桜の姿が見える。歩みは自然と駆け足に変わった。
今夜は風が無い。だからこそ、雲で月が隠される事無く光が地上に降り続く。
月光に照らされた桜は神秘的でいて、少し恐ろしい雰囲気を醸し出している。月に照らされた桜の姿に気圧されて厚みを止めた。
月明かりの中で静かに立っている桜は、まだ満開とまではいかないが、とても美しい。
怖気付いたのは一瞬で、直ぐにその美しさに心引かれた。特に向かって右手奥にある一際大きな桜の木から目が離せない。
引き寄せられるように大木に向かう。
あと数歩で気の根元に着く所で足を止めて大木を見上げる。
タイトルを考えるの苦手。
夜の明かりの中へ
窓の外を見ると、真ん丸のお月様が夜空に浮かんでいた。
雲が殆ど無く、月の光は絶え間なく地上に降り注いでいる。月の光で浮かび上がる見慣れた風景は、日中に見るそれとは全く雰囲気が違う。まるで知っている場所と似た別の場所に迷い込んでしまったみたいだと思った。
あり得ない自分の考えにくすりと笑い、外を見るために開けていたカーテンを閉めた。
カーテンで遮られていても、室内に入り込んで中を仄かに明るくする月明かり。
どうしてか、堪らなく、その光と夜の空気を直に肌で感じたくなった。
思いついたら即行動。親しい人から美点であり欠点でもあると言われるその行動力を遺憾なく発揮する。ハンガーに掛けてある上着を引っ掴んで袖を通すと部屋を出た。
夜遅くに家から出る事が家族に知られれば絶対に怒られる。無駄な時間を浪費しないためにも気付かれないように慎重に玄関へ歩く。音を立てないように注意してぎりぎり体が通り抜けられるほどの隙間を開ける。すぐさまそこに体を滑り込ませて外に出るとまたゆっくりと扉を閉めた。
大きな音を立てる事無く出られた事に安心して大きく息を吐いた。
玄関を離れて大きく深呼吸する。
緊張から解放されたからなのか、これから通って行く見慣れた場所の見慣れない一面への期待からか、胸がドキドキと高鳴っている。
辺りをぐるりと一回り見てから、目的の場所に向かって足を踏み出した。