零れ話
ポッと浮かんだ話を無責任に投下。
息子は無邪気に元凶を告げた…。
「今日の仕事は終わりだとイリアに執務室から追い出された」
そう言いながら自分のもとにまでやってきた息子を抱き上げた。高い位置に持ち上げられた息子は、嬉しいようで笑い声を上げながらはしゃいでいた。そんな微笑ましい風景を笑顔で見つめながら、彼女は彼から仕事を取り上げた元凶に余計な事をと毒づいた。
だが、無邪気に喜ぶ息子と触れ合う夫を見るのは非常に心が温まった。
彼らを見つめていた彼女へとふいに夫が見つめ返してきた。
何だろうと内心首をかしげると、夫が嫌な笑みを浮かべる。彼がそんな風な笑い方をするとき、確実にろくな事が起きる。
関わりたくなくて不自然に目線をそらすが、やはりそれは無理だった。
「どうして父様と母様が会った場所を聞きたんだ?」
「えっと、トリウェルに僕が生まれる前のお父様とお母様のお話を聞いたんです。でも、お父様たちが初めて会った時のことはご本人からお聞きくださいと言われたんです」
原因は奴か…。
密かに後でしめてやろうと思っても仕方ないだろう。
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