零れ話
ポッと浮かんだ話を無責任に投下。
やはり兄妹
「貴女はお兄様相手になると、面白いぐらい感情がつかみにくくなるのね」
これが、先程までいた王太子が去った後の王女の第一声である。
彼女と王女初めて会ってもう3年が経つ。段々と分ってきたことだが、王族特有の人を引き付ける資質を持っている王女は、それを十分に活用して立ちまわっている。その罠にかかった人たちをどれほどまじかで見てきたことか。
まあ、彼女もその中の一人であるわけだが、他の人たちと違って一応この王女の親友という地位を手に入れた。彼女は自分のどこが良いのか思い当たる節が無いく、時折疑問に感じていた。
だが、しかし。
最近は何となくその理由の一つが分りつつある。
王女は楽しんでいるのだ、兄王子に対する彼女の反応を。
「そんなことはありませんよ」
彼女は王女の言葉ににっこりと、普段ならしないような満面の笑みを意図的に顔に浮かべる。
それにより、彼女が今非常に不機嫌だということが伝わったのだろう。王女は苦笑するだけでそれ以上何もいわなかった。
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