零れ話
ポッと浮かんだ話を無責任に投下。
思うからこそ
私はあの人と共に生きていくことはできない。
あの人が大を選ぶならば、そこから零れ落ちた小に私は手を伸ばそう。
だから、私はあの人と一緒にはいられない。
あの人が選ぶ道とは逆を目指して進むから。
愛している。
そう告げた男に対して女はその思いを受け取ることができないと分かっているため、困った顔をして男を見る。
貴方の気持ちは嬉しいと思う。けれど、私はあなたへ同じような愛情を向けることはできない。
女は男を愛している。けれど、それは長い時間を共にし、苦楽を分かち合った共としての愛だ。
女は知っていた。男が自分ことを愛してくれていることを。
自分があの人を求める感情と同じ物を、男が自分に対して持っているのだと。
男も知っていた。女の中にはあの人がいて、女の一番大事な愛をそいつから奪えないことも、女が他の誰かにそれを向けることはないと。
だからこそ、女は大勢の人々に愛を向けることができるのだ。
あの人のように。
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