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俺と彼女の思い出 2


 15の年に俺は民間の警備組織に入った。
 入ってから数年は孤児院のある街で仕事をしていたのだが、やがて他の土地への移動命令が下された。
 派遣された先での生活に慣れ始めた頃、俺は仕事場の先輩に連れられてある店を訪れた。
 そこに、彼女がいた。
 彼女は店員の様で、この店の常連客だと言っていた先輩と親しげに話をしていた。
 先輩が俺を彼女に紹介すると、彼女ははじめましてと俺に挨拶した。俺は思わず彼女にはじめまして、と返した。
 彼女は俺の事を覚えていないのか。
 俺は落胆した。
 だが、あれから長い時間が経っている。会話を一度したことしかない相手など、覚えていなくて当然だ。
 俺は暗くなる気持ちを押し殺して、彼女に笑いかけた。
 帰り際、俺は先輩に彼女の事を聞いた。
 彼女はずっとこの町に住んでいるのかと。
 もしかしたら人違いかもしれないと俺は不安になった。
 先輩は俺が彼女に興味を持った事をからかいながら、彼女について教えてくれた。
 彼女は数年前に父親と二人でこの町に移り住んだそうだ。以前は大きな街に住んでいたらしい。なんでも、彼女の母親の治療のために街に住んでいたが、その母親が亡くなったため、父親の故郷であるこの町に帰って来たということらしい。
 やはり、彼女はあの時の少女なのだろう。俺はそう思った。

 次の日から、俺は彼女が働いている店で昼食を買ってから仕事場に行くのが習慣になった。
 食べ物を注文して、少しだけ世間話をしていく、店員と客の関係。
 この関係を変える気は、俺には無かった。
 彼女にとって、俺は客の1人。同じ町に住む住人の1人。
 それで良い。

 彼女が平和に暮らせるように、俺は努力しよう。
 俺がこうして生きているのは、彼女のおかげだから。

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コメと酒の国で生活中。

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